1970年代 アメリカ
1970年代のアメリカで、ケースワーカーの間で、アルコール依存症の親の元で育ち、大人になった人を ”アダルトチルドレン” (Adult Children of Alcholics “ACOA”)と呼ぶようになったのが始まりです。
アルコール依存症者がいる家庭に生まれ育った子供の多くは、十分に面倒を見られなかったり、親の愛情を感じることが少かったために、自尊心・自己肯定感が低く、劣等感や自罰感情が高い傾向があります。
アダルトチルドレンは、”子供っぽい大人”と誤解されることもありますが、感情的に不安定で危険な親に対して、親の顔色を気にして機嫌を損なわないように気を使い、依存症では無い親の愚痴を聞き、慰めたり、世話を焼くなど、10歳の年齢に相応しくない大人の役割をすることもあります。
1990年代
1980年代末から90年代にかけて、アメリカではアダルトチルドレンがブームになりました。
1992年のアメリカ大統領選でビル・クリントン氏が 母の再婚相手がアルコール依存症であり、酒乱であったために過酷な子ども時代を過ごしたことを遊説で語り、支持を集め大統領選に勝利しました。
このことは、アダルトチルドレンブームがアメリカで広がる大きな要因になったと言われています。
日本では……
1990年代半ばから日本でもアダルトチルドレンという言葉が注目されるようになりました。
アメリカほどアルコール依存症の家族の割合が高くない日本では、「機能不全家族で育った人」という解釈がさらに拡大され、親との関係に問題があったり、過干渉な親に親の望むように育つことを求められ続けたことが原因で、自分が本当に望むものが分からなかったり、自己表現に問題を抱えることなどが原因で慢性的な問題を抱えたり、漠然とした「生きづらさ」を感じ悩んでいる人を指すようになりました。
現在は……
日本では精神医学や臨床心理の分野では治療の対象と考えられず、医師や心理師などの専門家による適切な支援を受けることが困難な状況が現在も続いています。
しかし、生育歴に問題が原因で生きづらさや慢性的な問題を抱えることは、切実な問題であり、医学や心理学に基づいた情報の入手が可能になり、必要な情報や専門家による支援、どこに住んでいても自助会等に容易にアクセスできることが必要だと考えています。